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日本商業新聞

【2023/7/3 日本商業新聞】一過性よりも長年愛用者づくり/トータルで美の提案/自店に合ったものを選択

 専門店の経営者と話をしていると「どうしたらこの先、生き残っていけるのか」と聞かれる。その時、記者は「お店周辺にいる生活者の支持を得て、人が集まり、信頼を得ること」と答える。立地や周辺環境、生活者の嗜好はそれぞれ違っていても、支持や信頼を得ることが「いいお店」の前提条件だからで、その一つが「トータルで美の提案」。ただ、数多くのブランドや商品を取り揃えればいいという訳ではない。自分のお店に最適なものを選択し、その魅力をしっかり生活者に伝えることが大事である。それを強みにするのが「化粧品専門店」だ。(半沢)



■一過性よりも長年愛用者づくり・トータルで美の提案


 前にも触れたことがあるが、人の流れが回復したと共に、生活者の購買意欲も戻っており、週末になれば百貨店だけでなく、駅ビルや郊外にあるショッピングモールは大勢の来場者で大変な賑わいを見せている。


 また、購買意欲が回復しただけでなく、コロナをキッカケに生活者ニーズも変化、それに伴って専門店の店頭でも少しずつ変化が見られる。今年になって幾つかの専門店を取材させていただいたがその中で感じるのは、大手化粧品メーカーが展開するナショナルブランドへの取り組み意識が高まっていることと、一方でそれまであまり注力してこなかった新興メーカーに対しても同じように取り組みを強化する専門店が増えていることだ。


 また、集客立地にある専門店だと、韓国コスメや美容機器、つけまつ毛やカラーコンタクト、マスメイクを数多く取り揃える一方、路面店では高齢者の多い専門店ではヘアケアや美容健康食品の品揃えを充実させるケースが多く見られるようになっている。更に立地関係無く、簡易型のエステサービスやギフトにも力を入れる専門店も増えていて、同じ専門店でも見え方や印象は全く違うから面白い。やはり、立地条件は異なっていても、化粧品専門店としての魅力は「トータルで美の提案」が出来ることにある。


 専門店の経営者と話をしていると「どうしたらこの先、生き残っていけるのか」と聞かれることがあるが、その時「お店周辺にいる生活者の支持を得て、人が集まり、信頼を得ること」と答えている。抽象的だが、専門店の立地や周辺環境、そしてそこにいる生活者の嗜好はそれぞれ違っていても、支持や信頼を得ることが「いいお店」の前提条件だからだ。それぞれ違う環境であっても、必ず適した方法はあるはずで、それが先述の「トータルで美の提案」であると考えている。



■自店に合ったものを選択


 今、メーカーだけでなく、各県の組合からも数多くの提案がなされている。しかし、それらを全て導入したところで必ず売上げが増える訳ではないのは当然のこと。数多くある提案の中から、自分の店に適したものを選択して、それをお店に来られる生活者に関心を持ってもらえる施策や活動とセットで取り組んでいかなければ、せっかくの魅力が伝わらない。それは、幾ら知名度の高いブランドや商品であっても、ただ並べているだけでは一過性の売上げでしかなく、長年の愛用者づくりには繋がらない。


 勿論、その大切さを最も感じているのが専門店で、そうした意識のもと、愚直に取り組み続けてきたからこそ、ブランドや商品だけでなく、お店も成長してきた。そうした活動の積み重ねが「周辺地域にいる生活者からの支持を得て、人が集まり、信頼を得ること」に繋がっているし、今後も専門店の根幹にあると記者は捉える。


 繰り返しなるが、ただ店頭に並べておくだけでは駄目で、手をかけてこそファンは増える。それは、大手メーカーであろうと、新興メーカーであろうと同じこと。メーカーと一緒に、お店の周辺にいる生活者に伝わりやすい形で情報発信や店頭活動、商品の見せ方等、お店独自の工夫が相まって愛用者化する。


 生活者が求めているのは話題を集める商品だけではない。自分の肌やお手入れに最適な商品や方法も必要とする。だからこそ、数多くある提案の中から、自分の店や生活者に最適なものを選択して取り組んでいくことが生活者の信頼を得ていくことに繋がっていくのではないだろうか。

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