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日本商業新聞

【2023/3/20 日本商業新聞】新時代の顧客掴む鍵は 時代に即した感性とスピード感が重要な時代へ 

 資生堂・コーセー・アルビオン3社の2023年度・化粧品専門店流通に向けた方針並びに取り組みが発表された。資生堂では「インウイ」、アルビオンでは「アルビオンスタジオ」など大型メイクブランドが投下される他、各ブランドの施策においても熱のこもった展開が繰り広げられる。それを受け、化粧品専門店が感じた率直な感想、また年明けからの店頭の状況も含め、2023年度の展望を紐解いていく。(中濱)



■新時代の顧客掴む鍵は


 まず「店頭の状況」についてだが、コロナに対する水際対策の緩和やマスク解除、また5類への引き下げなど、時代は〝アフターコロナ〟へと移行、同時に市場環境も活性化の方向に進んでいる。専門店流通においても、「完全に(コロナ前に)戻ったという訳ではないが、お客さまの消費意欲に関しては上向き傾向にあることは間違いない。人出は日に日に増しており、感染に対する恐れもかなり薄れている。肌タッチに対する抵抗感もあまり感じられないようになってきた」と殆どのお店が感じており、今年強化する取り組みについても「マスクの下も含めたタッチアップの強化」「フリー客にアプローチできるVMDの強化」「リアルイベントの復活」など、〝お肌に触れる活動〟を軸にした取り組みへと本格的に動き出す方向だ。


 そして各メーカー方針に対する率直な見方だが、まず「コーセー」については「今のところできすぎと言えるくらい順調。死角が感じられない」「リポソームの目もと美容液も売れるだろう。不思議なほど商品とマーケティングがかみ合っている。現状もコーセーの躍進で数字をつくっている」「商品政策・販売商品のリピート率の高さから来年まで好調が続くのでは…」と、高成長に期待と注目が集まる。



■時代に即した感性とスピード感が重要な時代へ 


 一方で、「今の好調時に、どれくらいの顧客の固定化を図れるかが今後の課題」という声も挙がっており、コーセーにおいては、止まらない勢いそのままに、強い単品から、化粧水・乳液への〝2類愛用者獲得〟に繋げていくかがポイントになる。


 そして〝勝負の年〟と掲げる「資生堂」も大きな期待が寄せられている。「インウイ、そしてBQの象徴美容液をはじめ、原点回帰の予兆を感じ期待が高まった」「社長をはじめとした役員の方々のプレゼンも〝想い〟があり勢いを感じた」「新ブランドだけでなく、各ブランドからの新製品も力が感じられ、またマーケティングもしっかりと費用をかけるとのこと。これらの商品の中からヒット商品が生まれることを期待したい。課題は実際に発売されてからどうか」と、23年から24年にかけての〝本気度〟が、徐々に店頭に浸透しているという印象だ。


 気がかりな点としては「新製品などすべてが下期からで、上期の数字をどう作るのかが問題」といった声や、「BQにおいては象徴美容液が出るものの、ラインの見直しは急務であり、時間がかかることも待ったなしの市場の状況を考えると遅すぎる感は否めない」など、更なる〝スピードアップ〟が合わさることができれば、より資生堂への期待感が高まることは間違いない。


 最後に、〝活動の最大化〟に注力する「アルビオン」では、「上期はとにかくフラルネブライトが勝負。アルビオンの店頭回帰に、どれだけ活動ができるかがお店としても勝負になる」「店頭活動が活発になるフェーズに入ってくるので、アルビオンと共に活動に取り組みたい」「フラルネブライトから外に向けた発信も強化していくということなので期待大」と、店頭もリアルの活動を中心とした店頭回帰に繋げたいという想いが強い。


 一方で、「知名度アップに繋がる宣伝投資に対してはどう考えているのか」といった、情報発信への取り組みが気になるという声も。


 このように、各メーカーがそれぞれの目標に向け一斉に走り出すこととなるが、その中で大事なことは、顧客から選ばれる店頭活性化策を出せるかどうかにある。商品・施策・マーケティング含め、過去の成功に捉われない、時代に即した感性とスピード感を発揮できるかが、新時代の顧客を掴む鍵になる。

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