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  • 日本商業新聞

【2023/10/30 日本商業新聞】「独自性」重要な時代に/高まる〝コスト意識〟/価格超える付加価値を強化

 帝国データバンクの調査によると、全国にある食品スーパーの3割超が赤字で苦戦していることが明らかになった。要因としては、人件費や光熱費のコスト高を店頭価格に転嫁しきれていないことに加え、生活者のコスト意識の高まりに合わせた「特売」や「安売り」など値下げ戦略よるところが大きい。こうした価格戦略は、集客を図りやすい一方で、過度な安売りは利益に影響を及ぼす可能性も高い。小売店にとって「価格」での訴求は集客という意味で大事だが、健全経営を前提に考えれば、「価格」ではなく、そのお店ならではの「独自性」を磨くことが重要だと考える。(半沢)



■高まる〝コスト意識〟


 ここ数年、化粧品業界では「プチプラコスメ」の台頭が目立つ。低価格でありながら、機能性やデザイン性に優れた化粧品として若年層を中心に人気を集めていたが、今は年齢層も拡がり、若年層だけでなく40代~50代の年齢層の愛用者も増えていると聞く。


 また2010年頃から、化粧品市場では、低価格帯と高価格帯の二極化が進んでいるが、その理由も、生活者意識の多様化が主な要因とされていた背景から、現在はコスト意識の高まりへと移行しつつある。


 低価格帯を代表するプチプラコスメの特長は、やはり低価格で質の高い商品が魅力であるが、一方で、セルフを中心としていることから、同様の機能を持ったアイテムが発売されればシフトする可能性も高い。要は、長期愛用者化へと繋げていく材料として「価格」だけでは正直限界があるということだ。


 では、「価格」以外のどんな要素で愛用者化につなげていけばいいのか。それは、価格以外の「独自性=付加価値」を磨き、生活者の満足度を高める他ない。そうした中で、高価格帯を中心に展開している化粧品専門店において、健全な形で経営を持続させるためには、独自性でどれだけ長期愛用者を増やしていけるかがポイントになる。



■価格超える付加価値を強化


 先日、有力化粧品専門店「isamiya」(千葉)が、テナント店として入店する駅ビル「ペリエ」と、取扱いメーカー5社(資生堂/コーセー/カネボウ/アルビオン/シェルクルール)とタイアップした独自イベントとして「コスメフェスタ2023」を開催。


 イベントでは、最新の美容機器を使った肌診断をはじめ、スキンケアやメイクの体験会、メイクアップアーティストによるメイクショー等、メーカー毎にブースを設けて化粧品専門店としての活動の一端やメーカー個々の魅力を生活者自身の肌で体感してもらうことを目的に実施。1日限りのイベントだが「ペリエ」の会員を中心に200名以上が来場、多くは「isamiya」で化粧品を購入していない人が占めていたという。


 イベントの詳細については、後日紹介する予定だが、コロナが5類に移行後、人の流れもコロナ前を超える中、終日、各ブースには母娘の親子や友人同士、カップルなど多くの人で賑わい続けており、改めて本格的に人の流れが回復していることを感じた次第だ。


 このように、「isamiya」では、駅ビルという立地特性を活かし、お店の存在感は勿論、肌診断やカウンセリング、接客応対など専門店ならではの活動とブランド毎の違いや魅力を多くの生活者に訴求する「独自性」を展開した。


 また地方の路面店をみると、新規客獲得のためにエステで集客し、その施術中に化粧品の提案をする活動で顧客を増やしたり、SNSにおいては、商品情報だけでなくスタッフのブログも一緒に掲載することで、お店の雰囲気やスタッフの人柄を伝え来店を促すなど、趣向を凝らした取り組みで成果を上げているお店もある。


 今後暫くは生活者のコストに対する意識は高まっていくのは間違いなく、財布の紐は固い状態が続く。だからこそ、高価格帯の化粧品においては、商品の価格だけではない人の魅力や必要性が感じられる独自性の高い提案が必要不可欠となる。そして魅力や必要性を感じていただけたならば、長期愛用者化への第一歩にも繋がる。そのためにも、価格を超える付加価値提案の強化がより一層必要になる。

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