1月11~13日の3日間、東京ビッグサイトで「COSME Week東京」が開催され、前回(昨年1月)の来場者数2万3千名を上回る約3万人が訪れ、予想以上の盛り上がりを見せた。今回の取材で感じたのは、メンズコスメ関連の提案の多さと来場者の高い注目度。これまでのメンズコスメはスキンケア関連が中心だったが、今回はファンデーションや化粧下地、そしてポイント関連の提案も多く見られた。年々、男性の美容への意識は高まっており、それはスキンケアだけでなく他のカテゴリーにも拡がりを見せる。だとすれば、今後店頭での取り組み方も違ってくるのではないか。(半沢)
■男性20~30代の4割弱「興味あり」
先日、マーケティングリサーチ企業の楽天インサイトが全国20~69歳の男女1千名に向け「美容に関する調査」の実施、その結果を発表した。その中で目に止まったのはメイクへの関心度と実際の購入金額の2つ。「メイクに興味がある」との質問に、男性20代で22・3%、同じく30代で16・3%、20代と30代の4割弱が「興味ある」と回答している。一方、女性の20代は46・3%、30代で32・6%と当然メイクへの興味は高い。
ただ、1カ月あたりのメイクアイテムの購入金額では、男性20代の「3000~5000円未満」「5000~10000円未満」が共に26・1%。女性20代は「3000~5000円未満」が21・7%、「5000~10000円未満」が17・1%となった。ちなみに平均購入金額も男性20代が3783円、女性20代が3260円。
それまでは20代から60代までの各世代で、メイクに最も興味を持継世代は女性の20代、30代との認識でいたのだが、この調査結果ではメイクに対する興味度は女性の方が高いが、メイクアイテムを実際に購入している20代においては女性よりも男性が高いという結果にただ驚くしかなかった。
また、今回メイクを行う理由についても調査されており、男性20代で最も高かったのが「自分の気分を上げられるから」で30・4%で、次いで「メイクをするのが好きだから」「異性から良い印象を持たれたいから」が共に26・1%と続く。
■専門店での取り組み不可欠
今回の結果では、男性のうち20代の層が特にメイクへの関心度が高くなっているということが判明。ここ数年、男性の美容に対する意識が高まっているが、それがスキンケアだけでなく、メイクにも拡がっていることも裏付けている。当然、化粧品メーカーでは、そうした流れに合わせてメンズコスメやジェンダーレスコスメの商品施策に注力。また、商品だけでなく店頭で消費者に直接対応する美容部員に対しても取り組みを強化。話法や店頭でのアプローチ方法等、男性特有の肌特性やニーズを踏まえた教育も行われていると聞く。
今後、男性の美容意識は益々高まり、カテゴリーにも拡がりを見せていく中で、これからの課題として挙げられるのは、その美容意識の高い男性に、どう専門店と対応していくかである。具体的には、ブランド揃えから始まり、カウンセリングや情報発信の在り方、さらには男性美容部員が求められるかもしれない。要は女性だけでなく男性も専門店における「お客様」になり得る可能性があるということだ。
今までは専門店に来店する消費者の殆どが女性であり、そこに意識を置いた店づくりが行われてきた。しかし、今後は女性だけではなく男性にも「行ってみたい」「相談したい」と思ってもらえる店づくりや店頭活動が必要になるかもしれない。
また、男性がメイクアイテムを購入する場合、ネットやドラッグストアが多いようだが、今後さらにユーザー数が増えていけば「きちんとプロに相談したい」というニーズも増えてくる。そして、店頭で施術を行う際、スキンケアよりもメイクの方が短時間で確実にプロの技術を感じてもらえるのは言うまでもなく、それはお店やブランドのファンを増やすことにも繋がる。そうしたことを踏まえて考えれば、専門店でも今から準備を進めても決して時期早々ではない。まずは男性にも「行ってみたい」「相談してみたい」と思ってもらえる店づくりを模索していくことだと記者自身そう捉えている。
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