• 日本商業新聞

【2022/9/19 日本商業新聞】節約意識高まりへの準備を

  今、化粧品産業だけでなく、全ての産業で大きな問題なのが「原材料価格の高騰」。連日、新聞やニュース等で報じられているように、特にこの2022年は食品や日用品、光熱費等の高騰を要因に、あらゆる産業で値上げラッシュが続いている。そして様々な商品が値上がりをしていけば、次に起きるのは消費者の「節約意識の高まり」で、それは専門店にすれば来店頻度の減少に繋がりかねない。その時、専門店とメーカーが一緒に取り組み「価格以上の価値」を提供していくことが大事なことではないか。(半沢)



■価格以上の価値を提供


 冒頭で記した通り、この1~2年、あらゆる産業で「原料価格の高騰」により、値上げラッシュが起きている。それは化粧品産業も同じで、実際、7月に「シャネル」「ディオール」が香水と化粧品の価格を引き上げた。また、百貨店を中心に展開する多くの海外ブランドも、それぞれ一部商品の値上げを実施している。


 一方、国内のメーカーはどうか。「ちふれ化粧品」が昨年末に一部商品の価格改定を行っただけで目立った動きは見られない。また、今後大手化粧品メーカーで価格改定を行うという話もまだ聞こえてこないが、ただ、ある容器メーカーの関係者は「原料価格は高騰していて、企業努力だけでカバー出来ないところまできている」と話す通り、厳しい状況なのは間違いなく、いずれ値上げに踏み切るメーカーが出てくる可能性は高い。


 そして化粧品が値上げされた場合、次に考えられるのは「消費者の買い控え」だ。厳密に言えば、化粧品そのものを購入しないのではなく、購入する場所(流通)を変えることである。


 例えば、これまで百貨店で化粧品を購入していた消費者がECやバラエティショップ等で購入するようになれば、その百貨店では大きな影響を受けることになる。また、専門店も同じだ。ただ、今まで定期的に来店していた会員がいきなり離店することはないが、仮に1回に使う化粧品の量を量を少なくするだけで来店回数は少なくなるし、それが離店に繋がることも十分ある。


 日常生活に関わる全ての産業で値上げラッシュが今後も続けば、当然「節約に対する意識」は高まってくる。だとすれば、今愛用している化粧品の価格が変わらなくても、その他の日常生活に必要な食品や日用品の値上がりで影響を受けるのは当然のことだろう。


 その時、専門店で重要になるのは、消費者に価格以上の価値をより感じてもらうことで、もっと言えば、「色々なものを節約しなければいけない。でも、化粧品やお手入れに関しては妥協したくない」と認識してもらえる存在であり続けること。


 紙面で「デジタルを介した取り組み(情報発信等)が進めば、それは逆にリアルに求められるものも増える」と論じたことがあるが、まさに今の状況がそうだ。ここで言う価格以上の価値とは「リアルでしか得られないこと」。また、その価値も「高品質なもの」「独自の世界観を持つもの」に留まらず、「自分の肌に合っている化粧品」もしくは「自分のライフスタイルに合ったお手入れ(方法)」の提案であり、それを消費者の「満足感」に繋がって初めて認められる。さらに付け加えるとすれば、その人がまだ気づいていないニーズを顕在化することもそうで、それらを叶えて初めて、消費者にとっての「価格以上の価値」となる。



■メーカーとお店とのタッグ


 勿論、メーカーにとって、価格以上の価値とは「品質(モノづくり)」だが、それを伝えるのは店頭だ。原料高騰による影響は今後も暫く続いていくのは間違いなく、そうなると今後、大手の国内メーカーでも価格の改定に踏み切る企業が出てきてもおかしくない。実際、社内でもその議論が行われてると聞く。そうした厳しい状況だが、価格以上の価値を消費者に提供し、化粧品産業を下支えしていくことも専門店流通の役割ではないだろうか。その時に必要なのは、専門店とメーカーがリアルで提供出来る価値とは何か。それはお店によっても、メーカーによっても違うが、しかし、そうした状況は必ず訪れるだろう。だからこそ、今一度、専門店とメーカー双方でしっかり話し合っておく必要がある。