2022年度も上半期が終了した。年明けから続いたコロナ感染拡大はGWを迎える前に落ち着き始め、行動制限が解除されて以降はリベンジ消費が追い風となり化粧品専門店流通も回復基調の声が集まっていたが、ここにきて過去最高の新規感染者数が連日記録されるなど再び自粛への懸念が強まっている。更には物価上昇による家計への影響など、下期は消費の冷え込みに加え、メーカーにおいても原価上昇による利益面への影響が危惧される。
■〝Wの重荷〟じわりと
まず新型コロナウイルス関連の状況だが、年明けから春先まで続いたオミクロン株による第6波は、行動自粛により「客数」に大きく影響が出たが、GW以降は感染者数の減少により行動制限が解除され、リベンジ消費と共にコロナとの共生へと流れが変化。
それにより、化粧品専門店流通においても徐々に客足が戻り始め、タッチアップ活動やイベントが各地で再開されるなどコロナ前への活動へと回帰する期待感が高まったが、ここにきて連日過去最高の感染者数が確認され「第7波」が警戒されている。
しかしながら、政府は「現時点で新たな行動制限は考えていない」とし、濃厚接触の待機を最短で3日に短縮するなど、コロナ規制は緩和の方向へと向かっており、またここ数年コロナで開催が見送られていたお祭りやイベントも中止することなく催されるなど、以前のような自粛傾向には戻らないと考えられる。
実際に街を歩いていても、人流が減った印象はあまり感じられず、専門店においては「確かに周囲で感染者や濃厚接触者は増えているが、客数減やお手入れ拒否といった影響は今のところ感じられない」というのが現状のようだ。
ただ、このまま感染者数が増え続けたならば、やはり専門店の主力層である40代以降の顧客の来店及び、ショッピングセンターや都心部等においては客数に影響が出ることが予想されるだけに、コロナ禍を想定した顧客とのコミュニケーション強化及びコロナ対策の準備を進めておく必要があるだろう。
■家計の取捨選択始まるか
そして片側で足元の重荷になってきているのが「物価上昇」だ。国内の消費者物価指数の上昇率は、6月まで3カ月連続で2%を上回った一方で、十分な賃上げ上昇が伴っていないのが現状であり、更に帝国データバンクの調査によると、今年上半期に値上がりした食料品は6451品目、7月には1588品目、8~10月には計7218品目の値上げが予定されているという。
このように、じわりじわりと迫りくる物価上昇により、家計の見直しを図らなければならない場面が必ずくることが予想され、本格的にいるものといらないものの〝取捨選択〟が始まると考えられる。その中で化粧品専門店が選ばれる為には、化粧品専門店に行きたいと思う〝来店動機の創出〟を行う一方で、経営面では〝利益確保〟がより重要性を増すと考える。
来店動機創出という点では、以前にも紹介した「パーソナルカラー診断」といった、他では体験できないような〝コト体験〟の他、制度品化粧品メーカーでは、コーセー「コスメデコルテ」の「イドラクラリティ」「ゼンウェアフルイド」「スノークラリファイア」などがコロナ禍でも計画以上の動きを示している他、アルビオンでは「新スキコン」が新規獲得に貢献。また8月には新しい美容提案を引っさげた、力の入った新ブランドシリーズ「フラルネ」の誕生が期待される。そして資生堂では、ベネフィーク、CPBの充実が図られており、150周年を追い風とした勢いを期待したい。
またメーカーにおいては、原料や物流コストの高騰が続いているだけに、利益面への影響など今後の動きが注目される。
(中濱)
Comments