• 日本商業新聞

【2022/7/18 日本商業新聞】顧客づくりを止めるな 「サンプリング活動」への注力

■「サンプリング活動」への注力


 この2~3カ月、新型コロナの新規感染者数は減少傾向で、街を歩く人は増加、専門店でも感染対策をとったうえで、直接肌に触れる活動、つまり「タッチアップ活動」に取り組む専門店が目に見えて増えている。その背景には、コロナ禍で減った「顧客(お店のファン)づくり」が大きな課題となっているからだ。しかし、6月後半から再び感染者数は増加傾向で、専門店からも「またか」と不安の声が届いてくる。そうした状況下、タッチアップ活動と異なる取り組みとして、サンプリング活動に注目したい。



■認知度向上に一定の効果


 ご承知の通り「サンプリング活動」は、消費者に無料で商品を配布し、体験してもらうことで需要喚起に繋げるアクションであり、これまで新製品の発売や季節に合わせて行われてきた。


 このサンプリング活動は、多くの人に商品を知ってもらう方法として一定の効果はあるものの、その一方で「その場で体感してもらえるタッチアップ活動はお客様との関係性を深めやすいし、お客さまの反応もサンプリングと違ってわかりやすい」との声もあり、やはり専門店で「顧客づくり」を行ううえで重要な取り組みなのはタッチアップ活動だという声が圧倒的に多いだろう。


 しかし、このコロナ禍でタッチアップ活動が出来なくなり、それに代わる活動として専門店では「サンプリング」への取り組みを強化した。具体的には、サンプルを渡す際、自宅に持ち帰ってすぐに使ってもらうよう、ひと手間加えることで使用喚起を行ない、愛用者増加という成果へと繋げているお店が少しずつだが増えている。


 ある専門店の場合、新製品として「乳液」が発売されたタイミングに合わせ、「乳液」だけでなく「化粧水」も数日分をセットにして、お店で2類愛用者でない顧客を中心にサンプリングを行ったという。そのお店では顧客づくりを行っていくうえで、化粧水と乳液の2類愛用者を増やしていくことが重要だと捉えているからである。また、サンプルを渡す際には、次回来店の約束をしてもらったり、2~3日後にお店からメールを使って感想を聞く等して必ず試してもらうことに徹底して取り組んだ。また、別のお店では、シニア層が中心顧客層であることから、化粧水=①、乳液=②、美容液=③というシールを貼り、使用順序をわかりやすくする等して使用喚起を促した。


 専門店でのサンプリング活動は、ひと昔前のようにとにかく多くの消費者にサンプルを配布するだけではない。顧客データを活用してターゲットを絞り、その消費者に確実に使ってもらえる形で配布しており、その効果も以前に比べて高い。


 このままタッチアップ活動に取り組み続けられる環境が継続していくことが望ましいが、新規感染者数が増えている今、再び活動そのものがストップしてしまう可能性もある。その時に備えて、タッチアップと共にサンプリングも取り組むべき活動として選択肢に入れておく必要があるのではないか。もちろん、それは専門店だけでなく、メーカーと協力しながら戦略立てて行っていくことが前提である。


 前にも触れたが、新型コロナで既存客の離店率が高まってしまった今、多くの専門店では「化粧水」「乳液」の2類愛用者を拡げ、お店のファンへと育成していく活動に取り組む意識が益々強い。


 その中で来店客との信頼関係が築きやすいタッチアップ活動はとても大切な活動であるのは言うまでもないが、新規感染者数の増加によりタッチアップ活動が出来なくなったり、そうでなかったとしても消費者意識のどこかに「感染対策していても、何となく心配」と不安を感じる消費者も少なからずいるはずで、だからこそ、重点活動としてタッチアップ活動とサンプリング活動の2軸で考えていく必要があるのではないか、記者はそう考えている。

 新規感染者数の増加はどこまで拡がっていくのかわからないが、最悪の状況でも対応出来る準備をしておく必要はある。サンプリング活動は、その一つの方法で、多くの専門店が取り組む「顧客づくり」の活動をここで止めないためにも改めて考えていかなければならないのではないか。

(半沢)