• 日本商業新聞

【2022/5/30 日本商業新聞】「メイドインジャパン」の次は

 先日、東京ビックサイトで開催した展示会「ビューティーワールドジャパン」を取材した。美容に関するサービスや情報が一堂に集まる展示会で、今回は642社が出展、過去最高規模で行われた。その際、某OEM企業の経営者と今後の化粧品業界の動きについて意見交換をする機会があったのだが、気になったのは「今まで日本の化粧品はメイドインジャパンを武器としていたが、今後そうもいかないのでは」という言葉。背景には海外企業の技術力が高まっていることがあるが、ならば今後何が武器になるのだろうか。



■韓国・中国企業が台頭


 この数年間は品質管理等の安心安全性は当然、処方技術や成分開発力の高さを武器に、日本の化粧品は海外の消費者から多くの支持や信頼を獲得していた。ただ、この数年間で韓国や中国のOEM企業も相当技術力が高まってきているのは間違いなく、そうした状況を踏まえて考えていくとOEM企業の経営者が語る通り「このままではメイドインジャパンは武器ではなくなってしまうのではないか…」という危機感に繋がっていくのは当然のことだろう。


 その言葉通り、この数年のアジア地域におけるOEM企業の動きは、日本以外の、韓国や中国のOEM企業が台頭し始めているのは事実で、実際に国内においても大手化粧品メーカーと取り組む等の動きが見られるようになっており、徐々にシェアを拡げている。


 それならば「これからのOEM企業が生き残っていくために必要なのは何だと思うか」という質問を投げかけると、「提案力も大事だが、例えば原材料や配合成分へのこだわりも独自のモノづくりを実現するための大事な要素になる」と話をしていた。


 記者も全く同じで今後は「どこで作られた」ではなく、「どの企業が作った」が大事であり、つまりは化粧品としての機能性や独自にどれだけ価値や魅力を加えられるかが重要になってくるのではと感じている。


 また、このことは何もOEM企業に限ったことではなく、国内の化粧品メーカー、特にグロバール展開しているメーカー全てに同じことが当てはまる。インバウンド需要があった時には、思っていた以上にメイドインジャパンは大きな武器であり、化粧品業界全体を大きく活性化させた。しかし、今後数年後には大きな武器ではなくなる可能性がある今、重要なのは企業やブランドとしての存在自体を大きな武器にしていくことであり、要は「メイドイン●●●(企業・ブランド)」を目指すことが大切になってくるように思えてならないのである。



■企業やブランド自体が武器


 言われるまでもなく、これまで全ての化粧品メーカーが取り組んできたことは十分承知しているが、直近の化粧品メーカー各社の決算を見ても明らかなように、海外での売上比率は益々増加傾向にあり、特に新型コロナが落ち着きを見せ始めた昨年末以降、いち早くアジア地域の売上実績が回復傾向に転じた。現在は再び新型コロナの影響を受けてはいるものの、市場としてポテンシャルがあるのは事実で、注目度も依然として高い。


 しかし、先ほど説明した通り、アジア地域において韓国や中国の化粧品メーカーが今後さらにシェアを拡大させていく可能性がある中で、これまでのように強い存在感を発揮していくには、企業やブランドが持つ独自の価値を武器にしてシェアを拡大する他ない。


 また、それは海外に限ったことではなく国内の市場においても同じことが言える。異業種からの参入企業が依然増加傾向で、それらの企業とも競争していくためには、やはり「メイドイン●●●●」は欠かせないし、国内市場でも存在感を高めていくためにも独自の取り組みに力を注いでいかなければいけない。


 そう考えていくと、化粧品業界にとってこれからの数年間は大きな変革を迎える期間であるのと同時に、挑戦していかなければならない期間とも言える。また、それらの取り組みが化粧品メーカーとしての今後の立ち位置を決定づけていく可能性は高く、それゆえに各社の動きを注意深く見ていく必要がある。

(半沢)