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日本商業新聞

【2022/5/16 日本商業新聞】今後の店づくり方向性

 JR6社は今年のGW中(4月28日~5月8日)の利用者数をこのほど発表した。それによると今年はコロナ前の2018年比で7割強にまで回復したそうだ。3年振りに緊急事態宣言等、新型コロナに伴う行動宣言がないGWとなり、期間中は全国の観光地で多くの人で賑わいを見せていた。また、今回のGWだけでなく、3月末には全ての都道府県でまん延防止等重点措置が解除され、少しずつ以前のような生活に戻り始めているが、そこで記者が気になっているのが、化粧品専門店における今後の店づくりの方向性だ。


■今後の店づくり方向性

 2019年以降、新型コロナでショッピングモールや駅ビルは改装どころではなかったのは承知の通り。従ってテナント展開する専門店でも改装が延期されていたが、今春以降人流が増えていくにつれ、商業施設の改装に伴い専門店でも改装するケースが増えている。

 その改装にあたって重要なのは、単にお店をリフレッシュするだけでなく、感染対策への対応は勿論、新型コロナで加速化した消費者の意識や購買行動の変化に則した形の店づくりが前提にあるのは間違いない。


 特に様々に起きた変化の中で最たるものの一つが「情報環境」だ。コロナ禍でネットやSNS等を使ってあらゆる情報を取得しやすくなった反面、商品情報等の基本的な情報は把握出来るものの、その商品の機能や評価が自分の肌に当てはまるのかどうか確信が持てない状況になっている。そうなってくると、やはり最後は消費者自身がお店に来店し、美容部員に相談したり、自分の目や肌で確認してからでないと購入には繋がりにくい。新型コロナで化粧品業界においてもECやオンラインカウンセリング等のデジタル化が急速に進んでいるが、それによってアナログの重要性も増していることから、これからはデジタルとアナログをどう融合させていくかが重要なのだろう。


 今春に幾つかの専門店で改装が行われたが、その中で傾向として見て取れたのは、より来店客との接点拡大と関係性を深める取り組みに力を入れた店づくりが増えていたことである。ある専門店では、すぐにその場で簡単なカウンセリングが出来るよう、店内に数ヵ所省スペースのカウンセリングコーナーを新たに設けたり、また、違う専門店では美容機器の数を増やす等していたのである。


 またもう一つの傾向として、ブランドの公式ホームページで表現していたブランドの世界観をそのまま切り取ってきたようなコーナーづくりも増えていた。これは来店客がすぐに目的の化粧品やブランドを見つけてもらいたいとの狙いがある。


 今春以降に改装した専門店での店づくりの傾向を見る限り、来店客とお店との接点拡大や活動を通じて関係性を深めること、そしてどこに目的の化粧品やブランドがあるのかを視認性を高めることに、より力を入れるケースが多く見られた。


 消費者にお店へ来店してもらうのに当然「来店動機」が必要で、それはECも含めて様々な流通が存在する中、化粧品専門店にも必要である。その中で化粧品専門店において「来店動機」に繋がる要素として、今後重要になるのは「利便性」ではないかと思う。



■専門店における利便性とは

 ここで言う「利便性」とは、ドラッグストアやバラエティショップのように価格や夜遅くまで営業しているというものではなく、化粧品専門店や百貨店で展開している高い品質や機能性を兼ね備えた化粧品を求めている消費者にとっての「利便性」のこと。自分の肌に合った化粧品を自分のライフスタイルや嗜好に合わせての提案であり、それがWithコロナでの店づくりの一つの方向性ともいえる。更には化粧品専門店での取り組みとしても大きなポイントとなるのは間違いない。


 そのためにも重要なのは、そうした化粧品専門店で化粧品を購入している消費者にとっての利便性はなにか、それをしっかり把握しておかなければいけない。それも全体的な傾向ではなく、そのエリアにいる消費者に絞った傾向である。このことは非常に難しいことは十分知っているが、それが今後の店づくりや活動の方向性を決定付ける大事な要素であるのは言うまでもない。

(半沢)

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