• 日本商業新聞

【2022/11/21 日本商業新聞】求められる「施術」と「接客」

 現在、大手化粧品メーカー各社へ「新春トップインタビュー」の取材を進めている。各社、今年を新型コロナやウクライナ問題等で「我慢の年」としながら、一方、この数年間の経験をもとに来年2023年は、新たな施策や取り組み等に注力していく姿勢を明らかにしており、どのメーカーも前向きだった。そして、それらの取材の中で何度か出てきたのが「美容部員への取り組み」。人の流れが増え始めた今、店頭での体験活動を通じて化粧品の「魅力」を一人でも多く伝える取り組みへの重要性が高まってきている。(半沢)



■活動を通じ「魅力」伝達


 「生活者は何故、化粧品を使うのか」、当然キレイになりたいから。その想いに応えるため、全ての化粧品メーカーは高品質で高機能な、生活者にとって「魅力」ある化粧品の開発に注力し、同時にその「魅力」を伝えるため売場づくりや情報の発信にも取り組んでいる。


 そして、それを販売する小売店、特に化粧品専門店では、その「魅力」を生活者一人ひとりに伝えていくため、紹介活動や肌に触れる活動を通じて、多くの人に店頭で体験してもらい、生活者との信頼関係(距離感)を創り上げてきた。


 しかし、新型コロナが世界中で蔓延し始めた2020年以降の約3年間は、時間をかけた会話や肌に触れる活動が一切不可能になり、実績にも影響を及ぼした。そして、今秋以降、人の流れの増加と共に、専門店でも少しずつ来店人数が増えている。そうした中、今回の取材では、店頭での紹介活動や肌に触れる活動の重要性を訴えるメーカーが多く、来年2023年は、生活者を全ての中心に置いて、新たな施策や活動に取り組んでいくという。


 現在、殆どの専門店において、徹底した感染対策を行ったうえで、肌に触れる活動が行われるようになっている。実際、多くのお店で肌に触れる活動を目的に来店する生活者が増えていると、店頭にいるスタッフや美容部員からもそうした声が聞かれる。ましてや専門店流通を中心に展開する、高品質で高機能な化粧品の「魅力」を伝えるためには店頭での活動は不可欠である。



■美容部員への教育がポイントに


 そこで大きなポイントなのは、紹介活動や肌に触れる活動を行うスタッフや美容部員だ。特に美容部員では、この約3年間、肌に触れる活動から遠ざかっていたのは先述の通りだ。メーカーもその間教育を行っていたが以前のように直接生活者に施術や接客をしていた訳ではないし、新型コロナを経験した生活者に合わせた形での紹介活動や肌に触れる活動も新たに必要と思われる。


 専門店流通の強みは、レベルの高い施術と丁寧な接客応対で、そこに価値を感じる生活者は多い。また、化粧品市場の中で存在感を高めるためにも、人の流れが増えてきた今、改めて美容部員への教育に取り組む必要があるのではないか。実際、メーカーも既に美容部員に対する教育への取り組み強化やスタッフ向けのセミナー等を行い、それらの取り組みは今後さらに強化されていくと予定だと聞いている。



■求められる「施術」と「接客」


 少し前だが、ある地方の専門店を取材した時のこと。新規客獲得数の多さで知られるお店だが、新規客だけでなく、固定化率も高く、その理由の一つとして「接客」を挙げていた。「新たに出会ったお客さまが感動する接客が次の来店に繋がるし他のお客さまに伝われば来店動機にもなる」との考えのよるもので、接客だけでなく紹介活動や肌タッチ等にお店にいる全員が徹底して取り組んだ成果である。


 今年の秋以降、人の流れが増え始め、専門店を取り巻く環境も変わりつつある。その中で大事なのは流通の強みである、生活者が求める施術と接客応対を通じて、化粧品の「魅力」を一人でも多く伝えていくことで、それが専門店や化粧品メーカーの価値創造に繋がってくるのでないか。


 勿論、これらの活動は今始まったものではなく長年にわたり取り組み続けてきたことではあるが2020年以降の約3年間にわたり、そうした活動が満足に出来ていなかったこと、そして人の流れ増え始めてきたことを考えると、改めてスタッフや美容部員への教育に取り組むことがとても重要ではないだろうか。