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【日本商業新聞 2022/1/17】リアルとネットの両軸展開


販売から伝達へ目的変化


 年々、化粧品・医薬品のECの市場規模は拡大傾向にある。経済産業省が昨年7月発表のデータによれば2020年の市場規模は前年比6・7%増の7787億円。そして2021年はさらに上回るのは間違いないだろう。実際、新年号トップインタビューでも各メーカーのトップも「顧客ニーズの変化に伴い、EC(ネット)の販売実績は伸びていくのは間違いない」と口を揃える。その中、各社のネットでの取り組みを見ると、単に商品を販売するための手段ではなく、新規客獲得や更なる愛用者育成を図り、リアル(店頭)の価値を高めることにシフトしているように思えてならない。


◆リアルとネットの両軸展開


 記者自身も新型コロナの影響も含め、これまでの消費者ニーズの変化や動きを考えていくと、ネットの重要性は今後さらに大きくなるものと見ている。その中で、リアルをさらに強くしていくにはネットを活用し、リアルとネットを両軸にすることが専門店流通の発展に繋がると改めて強く感じている。


 理由は大小様々だが、現状では消費者心理と新型コロナが大きな理由として挙げられる。

 世代に関わらず今まで使ったことがない商品や口コミで話題の商品については店頭で実際に試してみたり、スタッフのアドバイスを受けつつ商品を購入したいという心理は一定数いる。加えて、日本の小売市場では、消費者の生活圏に多くの小売店が存在するため、手軽に店頭で買い物が出来る環境が整っている。


 しかし、昨年秋に緊急事態宣言が解除されたものの、昨年末からオミクロン株による感染者数が急激に増加する等、今後どうなるか分らない状況にあり、人の流れは活発になってきているが、それでも以前と比べるとまだまだ低い状況にある。


 年末から年明けにかけて幾つかの専門店を訪問しても「常連のお客様を中心に客足は徐々に戻りつつあるようだ」と多くのオーナーが感じている一方、「お店の見え方や活動を新しくしていかなければならない」とも語っていた。その言葉通り、来客人数は以前に比べて増えてはいるが、その殆どが常連客で、新規客の獲得については未だ苦戦状態にあり、多くの専門店での共通課題として挙がっていた。


 そうした状況を踏まえてネットの活用が課題解決のポイントとして期待をしている。ネットの市場規模は拡大傾向でその背景には、リアル店舗よりも低価格で商品を購入出来るというメリットがあった。しかし、この1~2年リアルとネットとの価格に差が見られなくなり、その代わりに「いつでもどこでも購入出来る」という利便性がネットの大きな理由となっている。ただ、これだけ生活圏内に多くの小売店が存在していることを考えると、利便性がそこまで圧倒的な理由にはなっていないように思える。


◆今後の課題は新規獲得


 そうした中、今後リアルをさらに強くするためにネットを活用すべきと感じるのは、新規客獲得と更なる愛用者育成においてインターネットを通じた自店の情報発信が不可欠だと思うからである。


 現に今メーカー各社が推し進めるネットでの取り組みも、新たな買場というよりは、商品やブランドのことを知ってもらうこと、そして深く理解してもらうことに力を注いでいるように感じる。


 商品説明は当然、ブランドの世界観や商品の使用法やお手入れ提案、更にSDGs等とメーカーの取り組みを紹介。そうして増やした新規客や愛用者の受け皿となるのが専門店と言えよう。



 新型コロナで化粧品の業界構造だけでなく、消費者の意識も急激に変化しており、それに合わせて専門店としての見え方や活動も変えていかなければならない。その変化の中で今後の大きなポイントなのがリアルとネットを両軸にしていくことである。


 繰り返しになってしまうが、この数年業界構造や在り方は急激に変化しており、専門店でも新たな対応が迫られている。しかし、商品を店頭で試したり、アドバイスを受けてから商品を購入したいという心理は今後も変わらずある。お客様の「美しくなりたい」という思いと、専門店の一番の使命の「美しくする」ことを同じであり、大切なのはそれをどう具現化するかである。


(半沢)