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日本商業新聞

【日本商業新聞 一面】 OEM・ODMの新たな成長 2022/4/11

 この数年、メーカー(本舗)のモノづくりを下支えするOEM・ODM企業に求められていたのは、インバウンド需要を理由に増加していたメーカーからの注文をこなすことにあった。ただ、この2~3年、新型コロナでインバウンドによる注文は減少。また、韓国コスマックス社等の韓国のOEM・ODM企業が日本市場に進出し始めていることや、国内メーカーもSDGsや効率化を理由に商品数を減らす動きも出ている。今後重要なのはOEM・ODM企業の提案力強化と幅を拡げることだと見ている。



■OEM・ODMの新たな成長


 今年に入ってから、少しずつだが、国内のOEM・ODM企業の業績は回復傾向にある。ただ、2021年比はプラス成長で推移する等、明るい兆しは見えるものの、コロナ前の2019年の水準にまでは戻っておらず国内のOEM・ODM企業は依然として厳しい環境にある。

 ただメーカーからの受注は減少傾向にあるが、一方で化粧品業界以外からの参入を目指す企業との取り引きが増えつつあるとも聞かれる。しかし、化粧品メーカーとの取り引きとは異なり、ある一定数の商品を納品するだけというケースもあるようで、年間を通じて安定受注という訳ではない。


 話は少し変わるが、数年前から大手メーカーでは、製薬会社や大学研究機関と連携して、商品だけでなく、新たな技術や成分の開発に共同で取り組むという動きが見られるようになってきた。

 例えばアルビオンの代表的美容液の一つ「エクラフチュールd」がその一つ。ナノテクノロジーを用いた医薬品等の研究開発を手掛ける企業「ナノキャリア社」との共同開発により2013年秋に誕生。発売して以来、多くの愛用者を獲得し続けている。

 また、アルビオン以外のメーカーでも大学の研究機関やベンチャー企業とタッグを組んで新たな技術や成分開発に取り組んでいく活動が本格化している。そうした状況を見ると、OEM・ODM企業の今後取り組むべき活動として、それらメーカーの動き方に新たな成長のヒントがあるように感じてならない。



■提案力の強化と幅を拡げよ


 メーカーにとって重要なのは「安心安全を担保しながら、品質や機能に優れたモノづくり」なのは間違いない。しかし、1社だけでそれをしていく際、どうしても商品開発への考え方や方向性において、どこか偏りのような部分を感じることがある。それはメーカーの個性ともいい換えることが出来るが、それでも今の消費者の化粧品に対する意識やニーズが多様化していること、さらには予想以上のスピードで変化が起きていることを考えていくと、そこへの対応は今後益々難しくなっていくのではないか。

 先述のOEM・ODM企業における新たな成長のヒントとは、メーカーとはまた違う視点での提案と、多様化する消費者のニーズや変化のスピードへの対応という部分でのサポートである。それだけではなく、SDGsを踏まえた容器開発や今の消費者の目に止まりやすいパッケージデザインまた香りにこだわった提案も差別化した提案の一つといえないだろうか。


 OEM・ODM企業がメーカーの求める品質や機能性、そして十二分な生産体制を提供することは、メーカーのモノづくりを下支えするうえで大切だが、今後それ以外にもメーカーをサポートしていける部分は確実にあり、だからこそその取り組みに注力することが大切なように思える。

 実際、多くのOEM・ODM企業では、この数年研究部門は当然、容器やパッケージデザインに関する部門も新たに立ち上げている。つまり、OEM・ODM企業として生産体制や物流、研究開発等、各部門の環境を整え、メーカーのモノづくりを下支えする企業としての提案力や独自性、その幅を拡げていくことが重要になってくるし、もっといえば、それぞれのメーカーがグローバル展開を行ううえで欠かせない個性や存在感を発揮していくことにも繋がってくる。そうした意味においても、OEM・ODM企業において、新たな成長に向けた取り組みをスタートさせていく局面を迎えているとはいえないだろうか。

 (半沢)

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