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日本商業新聞

【日本商業新聞 コラム】心意気と美学 -674- セクハラ&パパ活議員

令和の時代、いちばん簡単になれる職業、それは市議や町議。


競争率が極めて低く、当選すれば数年は雇用が保証され、それなりの報酬もあり、分不相応にセンセイとまで呼ばれる。こんなに美味しい職業があることを就職難の若い人に一刻も早く知らせたいものだが、未だ探知してもらえず、地方議会は相変わらず当選暦の長い老人たちで占有されている。それでもその中にも宝くじに当たったかのような新人議員も出始めている。


最近、団塊農耕派の住む地域でもいくつかの市議選があったが、どこも30名程度の定員に対して、立候補者は定員を2,3名オーバーするだけの無風選挙だった。候補者の写真と経歴を見ただけで落ちる人は容易に類推でき、その通りの結果になった。


昔、東大には「記念受験」というのがあって身の程知らずが受験して喜んでいたが、合格を期待する人などいなかった。ところが件の市議選ではその余りに広き門ゆえ、受かってしまう可能性があった。そしてそれは杞憂に終わらず、選挙公約すらまともに書けない人たちが少なからずバッチをゲットしている。


この裏口入学みたいな当選者が有権者の期待に応えられるわけが無く、いずれ化けの皮が剥がされて失脚していくことになる。最近セクハラ、パワハラで辞任に追い込まれた市長や国会議員の記者会見を見たが、その知性や感性はもはや政治家の器ではなく、どうしてこんな人間がこの地位に昇ったのか驚かされる。地位が人を変えたのではなく、もともと政治家になるべき人ではなかったということだろう。


政治家の裏金問題で自民党に逆風が吹いているが、国政レベルでも不適な人材が国会に送り込まれているような気がしてならない。世襲を常識と考え、票田の確保に努めたいのは分かるが、〝オラが国のセンセイ〟の息子は必ずしも有能ではなく、むしろ党の増量剤としての働きしか出来ないケースが多いわけで、日本でもイギリスのように親の地盤からは立候補できない仕組みをつくったらいいと思う。


2世3世より始末の悪いのが、若くして政治を志す〝野心家〟政治家だ。松下政治塾のようなところで先人との付き合い方、つまり処世術を学び、政治家デビューの機会を虎視眈々と狙う。公募に応じて党公認候補になるのがベスト且つ最短ルートで、当選後も党や大物政治家への忖度は怠りない。いわばボスの指示のまま動くロボット政治家で、その自己愛は尋常ではない。角栄さんやハマコウさんがたたき上げの骨太の政治家なら、彼等は塾で学力を身につけ、一流企業に就職し、役員になったサラリーマン風政治家と言ったところか。


前官房長官は団塊農耕派の選挙区から出た人だが、地元民は彼のことをほとんど知らない。だから官房長官になっても特別の思いは無く、失脚してもかわいそうだとは思わない。ひょっとしたら政治塾出身ではないかと思い調べてみたら、案の定そうだった。〝オラが国のセンセイ〟は地元民も知らない氏素性の人だということを今になって知った。


そもそも政治家になるのに塾に行くと言う魂胆が気に入らない。団塊農耕派は塾通いの経験が一度もないので偏見かもしれないが、塾とは偏差値を上げるだけのところで、人間性を高める上では何の役にも立たないのではと思っている。

(団塊農耕派)

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