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【日本商業新聞 コラム】心意気と美学 -652- 比例区

 政治家の堕落の原因は比例区にあるのではないかと思う時がある。


 比例区には、選挙区では当選の可能性が薄くなった賞味期限切れの老政治家や、自己アピール能力だけで公認を勝ち取った舌先三寸の若手や、タレント業の延長と考えている政治オンチの元芸能人で溢れている。人権意識の薄い人、お金に汚い人、性道徳に欠ける人、何を言い出すか分からない人…、バラエティに富んでいる。ユニークなのはいいが、知性と品性に欠けるのは困る。戦火のさなかに出国してロシアに媚を売った政治家、懲りずに差別発言とお詫びを繰り返す右翼がかった女性、自らは年金未納なのに老人福祉をライフワークにしたいと言う男性歌手、「これから勉強します」と壇上で恥ずかしげもなく演説する女性タレント、テレビのワイドショーはネタに事欠かない。


 もらったばかりの役職を不倫がバレて返上せざるを得なくなったヤマダタロウという政治家がいる。同じ名前の歌手が団塊農耕派と同じ世代に居たが、まがい者が政治の世界に居たことになる。彼は元祖山田太郎が歌った「新聞少年」という歌を知っているだろうか。毎朝新聞を配る貧しい少年の歌だが、華麗な経歴をぶらさげて政務次官にまで登りつめた男には少年の辛さや夢の大きさに思いを馳せる余裕も必要も無かったのだろう。残念なのはヤマダタロウという清廉潔白且つ道徳的なイメージが彼の下品な素行のせいで汚されてしまったことだ。役職から降りるだけで議員バッチをはずしたくないようだが、そんなことはどうでもよく、肝心なのはヤマダタロウという名前を手離してほしい。それだけだ。


 上岡竜太郎の名言がある。「『○○くずれ』という言葉があるが、『スポーツ選手くずれ』や『学者くずれ』は芸能界に逃げる。そして『芸能界くずれ』は政治の世界に逃げる」

 

 たしかに的を射ており、かつて東京と大阪に喜劇界出身の知事が同時に生まれたこともあった。また今のウクライナの大統領も、悪名高きトランプさんもそれに近い。ただ芸能界くずれにもピンからキリまであって、今は不幸にも本物の「くずれ」ばかりが集まっているが、党が人選さえ誤らなければまともな人が出てくる可能性はある。しかし党利党略だけで動く政党が人材のスキルや徳を吟味して候補を選ぶとは思えない。ならば極論だが、比例区当選者の自発的な政治活動を禁じるのもアリかもしれない。選挙結果から政党に割り振られる数だけが意味を持ち、当選者はロボット扱い。名前も公表しない。蟻の行列のようにひたすら指示に従って動く。いわば採決の時の上乗せ票としての価値しかないが、これは本来の比例区の趣旨を否定しない。だから政党としては受け入れやすい考え方だが、人権擁護派の人からの厳しい糾弾は避けられない。


 比例区に群がる人材の質が悪いことから考えた団塊農耕派の浅知恵だが、そんな荒療治の前に「比例区もやはり必要だね」と思わせてくれる人材が出てきてくれるのが一番いいが、長く続いた駄馬レースの歴史を一朝一夕に変えることは難しい。2世議員ばかりの選挙区、問題だらけの比例区、次の総選挙は先送りになりそうだが、それまでにこの閉塞感から抜け出す有効な手段を見つけてほしいものだ。

(団塊農耕派)

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