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【日本商業新聞 コラム】心意気と美学 -626- 少子化対策

「このまま少子化が続けば日本は滅びる」


国もようやく本気になった。でも対策は手ぬるい。考え付くのは予算の裏づけの無い大雑把な金銭的支援だけで、〝子作り〟の動機に直接結びつく社会構造の変革にまで踏み込んでいない。


 女性の社会進出を支援すれば、あるいは国民がリッチになれば少子化対策になるという従来の考え方もそのままだ。その美しすぎる案に団塊農耕派は違和感を覚える。この問題に性善説はなじまない。お金が別の用途に使われてしまうだろうことは、コロナ禍でバラまいたお金が本来の目的に使われなかったことからも容易に想像できる。


 そもそも失業者の多い発展途上国に子どもは多く、先進国でも停電が続くと出生率があがるという事実があるが、そこに少子化対策のヒントがあると思わないか。外出も仕事も止めて、夫婦が共に過ごす時間を創出することこそが有効な解決策なのだが、今そんなことを言えば火だるまになってしまう。でも少子化対策という喫緊の国家事業を考える時、その有望な道を閉ざしていいものか。


 ベビーブームのど真ん中に生まれ、息が詰まるほどの密集の中で成長した団塊農耕派は、旧来の社会秩序、すなわち「寿退社」や「専業主婦」が如何に多子化に貢献してきたかを知っている。短大を卒業して4年間就労したのち寿退社し、30歳までに3人の子どもを作る、その花道を外せば周囲から白い目で見られる…、これは過去の日本の女性が味わった悲しい歴史だが、一方で、当時も今もこのような生き方を選択したい女性は少なからずいる。しかしその生き方は今では「女性蔑視」「人権侵害」につながるネガティブな発想として捉えられており、主役たる女性もそれを口にしない。積極的に「専業主婦を目指します」とは言いにくい時代になっている。


 「男女は平等だし、私は何でもできる。外で働きたい。子どもをつくるかどうかは成り行き次第」と言う女性がいれば、その道はすでに用意されている。しかし圧倒的に多いのは時代の流れに洗脳され、自分の生き方を決められない人だ。「家庭に篭るのは生理的にイヤ、子どもごときに私の生き方の邪魔をさせたくない、でもいずれ家庭は欲しい」という女性や「夫の稼ぎだけでは暮らしていけないからやむなく外に出る」という女性だ。この人たちはこのまま外で働き続けることを必ずしもベストチョイスだと思っておらず、彼女らに従来以上に厚い専業主婦手当てとご主人の昇給保障をセットで約束できたら、専業主婦の道を選ぶ人は意外に多いかもしれない。


 たかだか30年前、戸主に物価に見合った収入があり、専業主婦に厚い税制上の特典があり、贅沢を言わなければ祖父母を含めた大家族でも十分暮らしていけた。この聖域を崩したのが核家族化と世帯収入の伸び悩みと女性の急激な社会進出だったわけで、国はその因果関係を精査に解析し、温故知新とも言える「専業主婦化のススメ」を検討したらよいと思う。おそらく時代錯誤だと大ブーイングを受けるのは必至だが、それは決して女性差別意識から来るものではなく、一つの選択肢として世の女性とその家族に問うだけの価値のあるものだと胸を張ればいい。男性が専業主夫になるのはアリなのだから。

(団塊農耕派)

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