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【日本商業新聞 コラム】心意気と美学 -620- ラオスをめぐる航空会社

 JALとラオス航空を使ってラオスへ行っていた頃、成田空港で係員と毎回もめました。

中継地のバンコクで荷物の預け直しを迫るJALとそのままビエンチャンまでスルーしてほしい私との駆け引きです。お互い譲らず、困った係員が責任者を呼ぶに至って交渉は終盤を迎えます。そして「何卒ご理解いただきたい」と言う責任者の慇懃無礼な言葉と「乗客の立場に立ってください」という私の頑なな回答が堂々めぐりを始めると、JALはしぶしぶ妥協案を出してきます。私の勝利が決まった瞬間です。「ぞんざいに扱われて荷物が壊れても、紛失しても、JALは一切の責任を負いません」と始末書にサインをするだけのことです。


 こんなことをラオスへ行く度に繰り返していました。でも一度も負けたことはありません。なぜこれほど食い下がったかと言えば、それはJALの職員たちの態度にありました。「大切なお客の荷物をラオス航空ごときにお任せできない」と平然と言う、その高慢ぶりがイヤで、これから向かおうとする国がバカにされたような気もなって、ついつい意固地になってしまったのだと思います。


 コンプライアンス遵守のつもりかもしれませんが、バンコクの空港の広さと混雑度、その日の都合で変わるラオス航空のカウンター、乗り継ぎ時間の短さ、そしてボランティアに向かう人特有の荷物の多さ…、JALのルールは乗客のことを考えているとは言い難く、むしろ保身そのものでした。初めてラオスへ行ったとき、悲惨にもバンコクの空港でこの難行を体験し、予約していた便に乗り遅れそうになったこともトラウマになっていたのかもしれません。ちなみに往路はJALに意地悪されますが、帰路は同じ行程ですが、何の抵抗もなく、ラオス航空は「成田まで」のタグをつけてくれました。JALは不満だったでしょうが。


 今、この件でJALがどうなっているは分かりません。最近はめったにJALを使わなくなったからです。スタディツアーなどは安いベトナム航空を使うようになりました。預ける荷物の上限は20㎏ですが、旅の目的がボランティア活動であることを記して事前に申請すれば、30㎏まで認めてくれますし、体調を崩したラオス帰りのツアー参加者のために、機内に特別席を作ってくれたり、ラウンジを使わせてくれたりしたことがあり、とても客本位の考え方のできる航空会社です。このおかげで10年まえのスタディツアーでは200㎏分を余計に運ぶことができ、文具や古着などラオスのこどもたちへのお土産が増えました。


 ところでラオス航空の日本への直行便はどうなったのでしょう。2年前、熊本空港への直行便が認可されたはずですが、実際にはまだ就航されていないようです。飛行距離の問題でまた延期になっているのなら、日本政府は救いの手を差しのべてほしいと思います。自国の利益のためにラオスの森を掘り返し、新幹線をあてがった中国のようにガツガツせず、航空機の譲渡や技術指導などをさりげなくやってほしいものです。客が集まれば早発するし、CAが仕事をしやすいように客を前後どちらかの席に固めるし、JICAの職員でも敬遠してかまわない危ない機種もまだ使っているようですが、ラオス航空はラオスへ入るとき、気持ちを鼓舞、浄化させてくれる神聖な航空会社でした。

(団塊農耕派)

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