◆専門店・厳しさ増す2022年
2022年度、資生堂・コーセー・アルビオン、主要化粧品制度品メーカー3社では、新たな取引制度の改定及び取り組みをスタートさせる。化粧品専門店においては「アローワンス(利益面)及び人的支援において多かれ少なかれ影響は出るだろう」という見方が大半となっており、もっと言えば、メーカーによる「専門店の〝選択と集中〟が一層進むのでは…」とみる専門店経営者も出てきている。今年度は専門店経営にとって非常に厳しい1年の始まりとなりそうだ。(中濱)
◆利益面の影響大きく
2022年度、オミクロン株によるコロナ感染拡大が猛威を振るう中、新年度が幕を開けた。化粧品専門店流通では、コーセーとアルビオンが1月からの新たなスタートに向け、年末から新たな取引制度の改定や取り組みについて各取扱店舗に説明に回っており、資生堂においては、2021年のアローワンス判定期間が終了し、いよいよ個店別の算定に入っていく。
これにより、3社それぞれの方向性が出揃うこととなり、専門店においては、美容部員の派遣をはじめとする人的支援及びアローワンスの詳細が明確になってくる。各メーカーの取り組みについてある専門店経営者に話を聞くと「全体的に美容部員の派遣やアローワンスの判定基準が以前より厳しくなっており、多かれ少なかれ影響が出ることは間違いないだろう。やはり売上など実績の成長がアローワンスの判定基準に大きく反映されると思うが、このコロナ禍で顧客の来店頻度が減少している中で、正直前年実績を確保することが精一杯」と話す。
また「当店はコミュニティタイプの路面店だが、利益面にかなり影響が出る見通しだ。例えば、クレジット端末の手数料など、これまでアローワンスで補っていた固定費がアローワンスで補填できない状態になる。本当に専門店にとって大変な時代に入ってしまった」という声や、多ブランドを展開する店舗においても「かなり大きな金額で粗利に影響が出そうだ」とため息をもらすなど、先行きの見えない現状に不安感をのぞかせる。
ただ、このコロナ禍の影響で厳しいのは専門店だけでなく、メーカーも収益確保という点で厳しい経営環境に置かれていることも事実だ。特に足元の「日本市場」の回復が遅れており、例えば、「資生堂」の第3四半期決算における「日本事業」の売上高をみると、2102億7700万円と前年比7・3%減少、また「コーセー」の第2四半期決算においても、「日本」の売上高は708億1500万円の前年比1・5%減と、両社ともプレステージ領域は回復基調にあるものの、全体としては苦戦を強いられている。
更に、一時は落ち着きを見せ始めていたコロナも、年明けから一気に広がりをみせているなど、この1年もコロナに左右される厳しい年になるだろうと予測され、またコロナ前の状態に戻るには時間がかかると思われるだけに、現状のままでは、メーカーが全ての専門店に満足度の高い支援を続けていくことは難しいと考える。
◆各メーカーの選択と集中本格化?
専門店の中には「メーカーによる専門店の〝選択と集中〟が本格的に始まるだろう」という見方も出てきているなど、今後専門店においては、メーカーの選択と集中が進むことをしっかりと念頭に置いた上で、自店はどのメーカー、あるいはブランドに注力していくのか、自店にとっての〝メーカーの選択と集中〟を明確に示す大事な時期に差し掛かっていると言える。
また片側で、メーカーに頼らずともしっかりと自店で利益商材を育成する〝マイストアブランド〟を持つこと、あるいは、コロナで最重要課題として挙がっている「客数減」及び「新客獲得」に繋げるための〝来店動機〟に繋げる商材や店頭活動など、店独自の新たなチャレンジに取り組む姿勢も必要になるだろう。
2022年はメーカーにとっても専門店にとっても厳しい1年となる。しっかりと自店の生き方を見極め、このコロナ禍を乗り越えて頂きたいと思う。
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